東京都産業労働局 tokyo reporter 島旅 & 山旅

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八丈島

東山、西山。大きな二山からなります。ひょうたん型した八丈島、はちじょうじま。温泉豊富。植生は亜熱帯の、黒潮の島。沖縄の大東諸島と、ゆかりがあります。伊豆&小笠原の離島へ、多摩へ。八丈島(東京都 八丈町)
椎名誠

椎名誠

作家。1979年より、小説、エッセイ、ルポなどの作家活動に入る。
趣味は焚き火キャンプ、どこか遠くへ行くこと。

1日目

馴染みの島

馴染みの島

島には今でも時々行っているが、もう冒険探検ごっこの歳ではないから近くて知り合いがたくさんいる馴染みの島ぐらいでゆったりしているので十分だ。その代表が「八丈島」である。

大きな瓢箪(ひょうたん)のかたちをしていて、人口は約八千人。ぼくは昭和四十年に行き、以来一年に一回は確実に行っているから少なくみても四十回は行っている。むかしは親しい仲間四人で約一トン排水量の小さな漁船を買って、よく釣りや潜りにいった。(写真:近藤 加津哉)

2日目

頂上は、一面の雲だった

頂上は、一面の雲だった

今回、八丈島の山に登りませんか、と言われた。海ばかりウロウロしていたので山はあまり気がつかなかった。いや、あれだけでっかいのだから気づいていたが登る、ということはあまり考えなかった。

いくつかの登山道があるが、天候がきまぐれなので晴れの瞬間を狙ってどんどん上のほうへ。道は途中までけっこうちゃんとしているがしだいに雲のドまん中に入ってきているのがわかる。草や竹などの密生する登り道をさらに登っていく。このあたりまでくると道はあまり明確ではなく、そんなにヒトは入っていないような印象だった。

やがて頂上。いちめんの雲だ。濃淡があってそれがあざ笑うように忙しくグラデーションを変える。晴れていればピークからこの島の南、太平洋の海原がいちめんにひろがっているのを一望できるという。でもいまは霧のご機嫌を伺いながら頭のなかでそのパノラマを想像するだけだ。霧はますます濃くなっていくだけのようだった。(写真:近藤 加津哉)
三原山のマボロシの滝

三原山のマボロシの滝

では「マボロシの滝」を見にいこう、ということになった。えっ?そんなものあるのかね。こんなに長いことこの島にかよっているというのに初めて聞く名前だ。

ガイドがいないとわからないようなポイントからいろんな草木が密集するルートに入っていった。滑りやすい足場、かなり複雑にくねりまがるルート。山の懐内部にどんどん入り込んでいく。

やがて思いがけない風景が現れた。全然予想もしていなかった大きな滝である。でも人里離れてややはかなく、華麗ともいえる滝である。垂直落下で三十六メートル。これも東京都の滝なのだ。おそらく東京で一番大きく美しい滝だろう。しばし眺めいる。この島のまたもっと大きな深い懐に触れた感じであった。(写真:近藤 加津哉)

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3日目

島酒の肴

島酒の肴

島酒には「クサヤ」がぴったりだ。あれはムロアジを使う。でもうまく食えるのは島だけだ。東京の居酒屋などで食うと絶対にまずい。クサヤの浜焼きを知らない居酒屋の多くの親父はアジの開きと同じだと思って裏表こんがり焼いてしまうからだ。

クサヤは干物としては例外的に背から焼く。ほんの三~四分ぐらい。裏返して一分ぐらい。両手で割るとほわーんと湯気のたちあがるようなのをかじる。これがとにかくサケの肴にいちばんなのだ。(写真:近藤 加津哉)